【プロフィール】
杉山 真智子 様
滋賀県守山市出身。短期大学の英語科卒業後、日本コカコーラ株式会社に勤める。その後結婚し、退職。3人の子供を育てることに専念。3人の子供が自立した時に、児童養護施設にボランティアへ。4 年半、週一回ボランティアに務める。子供たちと触れ合ってきたことをきっかけに認定 NPO 法人四つ葉のクローバーの理事長を務める。18 歳で児童養護施設や里親ファミリーホームを巣立った子どもたち、親からの虐待が再発した子どもや、帰る家がなく、経済的に困窮してホームレスになった 15 歳以上の子ども達などを、一時的に住居支援(シェアハウス)で預かり、就労支援を行って社会に貢献できる人材として世に送り出す支援を行っている。
― 会社(NPO法人)ではどのような事業を行っていますか?。
認定 NPO 法人四つ葉のクローバーのマザーボードで子どもたちの支援を行なっています。 これから、子どもたちと勉強会です。勉強会が終わったらまた家に戻ります。四つ葉のクローバーは児童養護施設を退所したり、施設に入れない、お金もない、親からの暴力がある、そういったしんどい子の支援を行なっております。ここに集まっていいよという場所を作る。今は児童養護施設に入ることがすごく難しいですからね。マザーボードでは、料理をしたりしています。今日は勉強会をします。今日の勉強会は性教育についてです。
― 一日のスケジュールを教えてください。
私も一応、主婦です。まず朝起きて、主人を仕事に送り出します。それから家のことをして、10 時ぐらいに出勤します。日によって全然違うのですが、色んな子どもたちのことをスタッフがやっていてくれているので、様子を伺ったりしています。あとは、様々な会議に出ています。
― それはどういった会議ですか?
役員会議、同じような NPO 法人の人たちと情報交換をしています。そしてあっという間に夕方です。それから買い物へ行って、ご飯の用意をして、主人を迎えてます。すごくバタバタしています。
― 両立が大変そうですね。
そうですね。だから晩御飯はレンチンです。
― 一日のスケジュールを教えてください<大変なお仕事ですか?>
誰でもしたくてもできない仕事だと自負しています。
― なぜそう思いになりましたか?
2 年前に還暦パーティーがありました。(同窓会みたいな)周りのみんなが話していることは、旦那・子供の自慢と、姑の悪口でした。何十年ぶりに会っても、その会話で盛り上がっていました。私は早く帰りたい、四つ葉のクローバーの子どもたちの様子が気になりました。その話している会話を聞いて、「違う!」と思いました。その時、この仕事は誰でもできる仕事ではないのだと思いました。
― こういったご経験をされている方は少ないですよね。
そうですね。私もここがなかったら、子供の自慢と姑の悪口を言っているようになっていたと思います。
だからここを作ってよかったと思っています。
― すごく、色々な御経験されていますね。仕事をする上で重視していることはなんですか?
この仕事はやっぱりすごく大変です。子供達って「生モノ」じゃないですか?生鮮食品みたいな。放置していたら腐るし、水をあげすぎてもいけません。だから程よい扱い方、大切に、大切に想う気持ち。料理でいうと「美味しくなーれ!」みたいな。
― その子ども達を大切に想う気持ちを重視するようになったきっかけはありますか?
心に傷を持った子どもたちですからね。「頑張れ」って言いたくなるじゃないですか?でも、「頑張れ」と言ったら話してくれなくなります。普通に「頑張れ」って使ったりするじゃないですか?でもあの子達はもうすでに頑張っています。頑張って生きてきたのですよ。
生きているだけですごいですよ。その上、まだ頑張れというのか。となりますから。本当によく生きてきたね。って、そのままの君でいいよ。ということです。「頑張れ」と言わない。もうすでに頑張っているのだから。
― そうですよね、お話を聞いてさらに大変なお仕事だということがわかりました。その中で問題に直面した経験はありますか?
やっぱりスタッフが台風の渦に巻き込まれる。子どもたちの闇ってすごいですよ。虐待を受けた子供たちの心の闇。もう深くて悲しくって辛くって。地獄みたいです。その地獄を生き抜いてきたのですから、簡単にはいかないですよね。すくすくと育った子どもではないから。大人を信用しません。その中で私たちを揺さぶってきます。私たちの器がどれほどの強度なのか。つまり試してくるわけです。これ以上やると警察呼ぶよというギリギリのラインを知っているからやってくるわけです。 だからその駆け引きですよね。
― 一実際、警察呼ぶこともありましたか?
何回もありますよ。
警察もあるし、薬をたくさん飲んで生死を彷徨った子も居ますし、あの時は死ぬって思いました。救急車を呼んだりすることもありました。あとは友達に殴られたとか。外で友達に殴られて、裁判にもなりました。施設で育ったのに大学へ進学したことを恨まれて。悲しいでしょう?いつ命が終わるか分からない危険性がある中で、生きていてくれることがすごいなって。
― 最後にどんな方と一緒に働きたいですか?
千と千尋の千尋みたいな人。
私は湯婆婆です。いつも神様を癒して元気になって外の世界に帰っていく。疲れた子供たちが帰ってきて、元気になって外の世界へ返したい。千と千尋の千尋みたいな人がたくさん来て欲しいなと思います。