株式会社ノモス 渋谷ゆう子様

プロフィール】

渋谷ゆう子様

株式会社ノモス 代表取締役

HP;NOMOS Inc. 丨 株式会社ノモス (nomos-japan.co.jp)

 音楽プロデューサー。大妻女子大学文学部卒。大学は書道専攻。幼少の頃からクラッシクピアノを習っており、常にクラッシク音楽を身近に感じながら日々を送る。卒業後は予備校、人材派遣会社で営業、企画広報を経て、2011 年 株式会社ノモスを設立。現在は代表取締役として、音源制作、コンサート企画運営を展開するほか、執筆業、演奏家支援セミナーやコンサルティングも行う。経済産業省が選ぶ「はばたく中小企業小規模事業者 300 選 2017」受賞。二男一女の母。

【インタビュー内容】

・起業されたきっかけ

 副業として行っていた音楽事業を本格的に始めたのがきっかけです。
 大学卒業後、サラリーマンとして働きながらアーティストの音楽制作を手伝っていました。
 この仕事をはじめてみて、プロデュースの楽しさに気づき、自分がそれを続けられるだけの才能を持っているかもしれないと思う様になりました。
 段々とご依頼くださるアーティストも増えていき、私自身この仕事の楽しさに熱中するようになったことから、勤めていた職場を退職して起業する決意をしました。

 

・女性で良かったと思うこと、損したこと

 まず、女性で良かったと感じたのは起業をした時です。初めて起業をするとなると、何から始めれば良いのかわからない。そんな時、男性だと先輩起業家の方に意見を聞こうとすると、なかなか素直に「教えてください。」っていうのが難しかったりするということを聞きます。これが女性の場合ですと、どんな方に対しても教えてくださいと素直に頼みやすいという側面があると思います。そういった点に関しては女性で良かったと感じました。

 反対に女性であるということを大変だと感じたのは、サラリーマンとして働いていた時です。私の場合は子供が小さかったので、産休が取りにくかったり子供の事情に合わせて休みを取るのが難しかったり、女性としてのハンディキャップを感じることが多々ありました。

 起業後も苦労したことはありました。3人目の子供を出産した時はすでに経営者となっており、産休育休の制度などはありません。入院が長引いた時は正直、会社が潰れてしまうかも、とも感じるほどでした。

 ただ、大変な経験もたくさんしてきましたが、「女性は、働きながら子育てをしなければいけないので、大変よ。」とはあまり言わないようにしています。なぜなら、「女性=結婚して、働きながら子育てをすることが必須」ではないから。子供を産まないという選択、結婚をしないという選択など、色々な選択があっていいと思うのです。私は「ジェンダーはグラデーション」だと思っています。男女関係なく、「こうならないといけない」、「計画的な人生を送らなければならない」。そういうものはありません。自分が生きたいように生きることが本当に大切なことだと思っています。

 

・仕事をする上で大切にしていること

 「他者評価を最も大切にする」ということです。私たちの仕事は、アーティストの価値観や考えを一番優先し、お手伝いをすることだと思っています。だから、自分がいくらその仕事がうまくいったと感じていても、相手がそう思ってくださらなければ意味がありません。相手が仕事の出来に納得していただいて、初めて成功と言えるのです。逆に相手が喜んでくれなかったら失敗。この「他者評価を最も大切にする」ということは、仕事をする上で常に気にかけている点です。

 また、相手に納得して頂くためには、相手の価値観や考え方を咀嚼し理解する努力が必要です。そのためには、ノウハウや技術など沢山の手札を持っていなければならなりません。「私はこの形だけでしか仕事ができない」という状態では相手に最適な仕事は提供できません。アーティスト一人ひとりが、なにを求めているかに関して常にアンテナを張っておく必要があると考えています。

 加えて自分で経営をしているので、時間を最大限有効に使うということも大切にしています。家事の効率化や時短のための出費は惜しみません。その分音楽を聴いたり本を読んだり、自分に必要なことに充てる方が絶対に自分のアドバンテージになると思っているからです。

・どんな学生時代を過ごされたか

 大学では書道を専攻していたので、とにかく実技の授業が多かったです。空いた時間を見つけては映画を見に行ったり、スポーツを観戦したり、充実した日々を送っていました。その頃は「音楽=仕事」とは全く結びついていませんでした。大学時代のアルバイトがその先の就職に繋がりました。書道や映画が職業にはならなかったのですが、その頃の経験が今の音楽の仕事、感性を必要とする部分に生かされていると思います。何事も無駄はないのだと実感しますね。

 

・日々の過ごし方

 仕事・プライベートという境目はなく、いい意味で常に仕事をしています。クライアントが海外の方になることもあるので、時差の関係で夜中にやり取りをすることもありますし、曲を聴くときや、何かの広告を見ているときも、参考にする点はあるか、など仕事につながることを常に考えています。

 仕事とプライベートの境目がないというと、「大変ではないか」と思われるかもしれないですが、私にとって「仕事=好きなこと」みたいなものです。ですから、仕事そのものが苦だと感じることはありません。

 また、美味しいワインを探したりすることも楽しみのひとつであり、仕事にもつながっています。もちろんお酒飲むのが好きなのもそうなのですが、海外の方と仕事をするにあたり、料理やお酒は文化のひとつとして話題やきっかけになります。人脈が勝負の業界ですから、話の広がりや幅を持ち、様々な分野に関心を持つことが大切です。

 

・どんな人と働きたいか

 どんな意見も一度は「なるほど、そういう考えもあるんだ。」と捉えることができる素直な人と働きたいと考えています。色々な価値観やこだわりを持っているアーティスト1人ひとりに寄り添う仕事ですので、相手の考えを受け入れ何を求めているかを冷静に分析する必要があるがあると考えるからです。また、個人的にですが、仕事に対して好奇心旺盛な人も一緒に働いていて、楽しいと思います。

 

・就活生にメッセージ

 「型にはまること」が正解とは限りません。キャリアに関して「5年後、10年後をイメージして、将来性をもって生きなさい」と言われることが多いと思います。先を見据えることも大切ですが、それよりも今、興味のあるものに注力してほしいと考えています。今の女性は不安が多いので、将来設計をしっかり行わなければ生きていけないと考えている方が多いと思いますが、そうとは限りません。時代は常に変化しますし、状況に臨機応変に柔軟に考えられるのも、女性の得意なことでもあります。

 何事も他人に依存して決めないで、自分マターで考えてください。自分の心の向くように決定していけば、たとえ失敗しても意外と後悔はしません。大丈夫です。元気があれば何でもできるのは本当ですよ。自分が好きだと思うこと、興味を引かれることを大事にしてください。そして、どんどん好きなことにチャレンジしてみてください。応援しています。

明るく前向きに、プロとしてお仕事をされているお姿に、大変感銘を受けました。将来への不安に対し『大丈夫』と頻りに言葉をかけてくださり、取材中ながら、励まして頂いたことがとても印象に残っています。渋谷様のような素敵な大人になるために、前向きにどんどんチャレンジしていきたいと思っています!

渋谷様、ありがとうございました!

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