知的財産取引所株式会社【IP SHOWCASE】代表取締役COO 伊勢幸恵様

伊勢幸恵(Ise Yukie)様


【プロフィール】
知的財産取引所株式会社【IP SHOWCASE】代表取締役COO
5歳から高校卒業までを香港で過ごす。大学で日本に帰国、卒業後米J.P.モルガン、仏ソシエテ・ジ
ェネラル証券会社にてデリバティブ部門のマーケット業務に従事。
ヨガと和太鼓を趣味とした一児の母。

【インタビュー】

今でも活きているインターナショナルスクールでの経験

家族の仕事の関係で、五歳から高校卒業までを香港で過ごしていました。
長く香港に住んでいたことでよく言われるのが「日本語上手だね」という言葉。
実は香港には小学校から中学まででおよそ1500人以上の生徒が通う日本人学校があり、そこに中学1年まで通っていました。
なので、7年間は日本の義務教育を受けています。
転機が訪れたのが、中学2年から通うようになった現地のインターナショナルスクールへの入学。
全てが英語での授業なので当然ながら、それまでの母国語で受けていた授業とは比べものにならないぐらい、授業についていくのが大変でした。
単位制だったので、成績が期待値に及ばず単位を取得できない場合は、進学も出来ない学校システムの中、どうにかして卒業しなくては、と必死でした。
また何より、クラスメイトと会話したい、仲良くなりたいという気持ちも大きく働き、会話で聞き取れない言葉をノートに書いてもらい、それらを家で辞書で調べて意味を理解した後、翌日に前日の会話の続きを試みる、ということもしていましたね(笑)。
様々なバックグラウンドを持ったクラスメイトからは、自分の知らない世界を聞いたり見たりと、日々、多種多様な思想に触れ、とにかく好奇心を掻き立てられました。
家族の帰国のタイミングに合わせて卒業をしたかったので、卒業までが通常5年かかるところ、単位制であるシステムを利用して4年で卒業しました。
試練の数々はありましたが、一つ一つ乗り越えて自身で成功体験を築けたことは大きな自信にもつながっています。
また同学年でも異なる年齢であったり、様々な人種であったり、トランスジェンダーの子だったり、いわゆるダイバーシティを体感できたこの時の経験は私の人生観を変える1つのターニングポイントになっています。

学生時代の就職活動のススメ

大学3年生の時、就職活動を始めるにあたって就職活動サービスに登録したところ、初めて受けた選考面接が順調に進み、そのまま無事内定をいただけることになった為、そこで満足して就職活動を終えました。
今振り返ると、もっと多くの会社を知る機会を持つべきだったかなと思います。
就職活動は様々な会社を知る絶好の機会でもあり、それぞれの会社が何をやっているのか見て回ることはとても有意義な社会勉強だと思います。
また、今は昔よりも学生インターンとして会社で仕事をして、そのまま入社するルートが増えてきています。
面接だけでは分からないようなことが実際に働いてみると分かるので、学生のうちにインターンをしてみるのはおススメです。

学生時代にしかできないこと

外資系の企業の特徴でもあるのですが、仕事の覚え方はOJT(On the Job Training)でした。
現場で働きながら実践的に仕事を学びます。
部署が縦割りでもあることから、隣の部署が何をやっているのか、自分の仕事が何にどう関わっているのかなど、全体像が掴みにくいです。
だからこそ、社内や社外でも横の繋がりを作り、他の会社や部署での様々な働き方を情報交換できるようにしていました。
自身の仕事しか知らないよりは、働き方を考え直すときに選択肢が広がるような視野を養うことを心がけるのが良いと思います。
学生時代には、フラットな関係性で情報交換出来るようなコミュニティを作っておくといいと思います。
ビジネス関係なく交流できるのは、学生ならではなので、その時に得た関係性はとても貴重です。

起業家としてのステップアップ

結婚・出産などのライフイベントを経て、会社員として働き続けるつもりでいたところ、海外転勤の辞令をきっかけに退職をしました。
そこから子育て中心に動いていましたが、家族が以前経営していた企業の知的財産が有効活用されていないことを知ったきっかけで、詳しく調べてみると、多くの企業が同じような課題を抱えている状況を知りました。
そこで2019年にIP SHOWCASEというサービスを立ち上げ、知的財産に関する課題を解決するサービスを始めたのです。
2019年5月に会社を創業し、同年7月に、東京都による起業家支援プログラムのAPT Womenに応募・参加しました。
いざ参加してみると、起業ステージがだいぶ先の方が多く、正直かなり焦りました(笑)。
経営ノウハウを包括的に学べる場として臨んだところ、実際はアウトプットの課題も多く、その中の1つがピッチです。
ピッチとは決められた短い時間内に目的をもって自社プロダクトを説明することです。
3分~5分と、短い時間なだけに、自社プロダクトの特徴、何がどう優れているのかを説得力もつ言葉に絞り込む作業は改めてじっくり事業と向き合うのにとても良い機会でした。
またそこで出会った女性起業家仲間は貴重な存在で、今でも情報交換したり、悩み相談をしたりと心の支えになってくれています。


NYでのピッチの様子

日本の大学とアメリカの大学

APT Womenには海外進出の足掛かりをつかむことを目的とした海外派遣の枠があり、2020年の1月にニューヨークに行ってきました。
自社事業周りを中心に関係者にアポをとり、ヒアリングやリサーチを進めていたのですが、大学つながりで言うならば、現地で訪れた大学で見た充実したスタートアップラボについてです。
構内には学生と企業が接点を持てるような施設があり、学生起業家が企業に対してピッチを行う部屋もいくつか用意されていました。
学生と企業の距離がとても近い環境で、事業の芽を育てていく土壌があるのだと、実感しました。
また構内には起業に成功した卒業生の写真が大きく壁に飾られており、チャレンジ精神を奮い立たせる雰囲気作りにも工夫がされていたのが印象的でした。
日本の大学には多数の知的財産が未活用のまま埋もれているのが実情です。それら知的財産が活用されるには企業と学生が身近に接することが出来る環境は重要なのではないかと改めて思い知らされました。


コロンビア大学にて

女子大生へのメッセージ

日本の大学生の就職活動は一定の期間に集中して職を探し求める大イベント的な扱いですが、そこで決まらなかったからといって悲観する必要もないし、新卒採用だけが職の入り口ではないです。
他の国を見れば、高校卒業後に社会に出て、一旦働く経験をしてから大学に入り再就職などといったスタイルは多くみられますし、大学通いながらいろんな会社でインターンを経験し、やり続けたい仕事に出会えればそのまま就職するなど、就職の仕方や働き方は「こうでなければいけない」ということはないと思います。
重要なのは「やりたいこと」を見つけることだと思います。
近年益々、「やりたいこと」を実現させるための環境が整ってきていると思います。
会社員になってやりたい仕事に就くのにジェンダーレス化が進んでいたり、趣味嗜好の延長などで副業が許されるようになったり、別のキャリア求めて転職するのも珍しく無くなってきていますよね。
また情熱をもってやりたいことが見つかっていれば、起業という道も良いと思います。
(相談・支援窓口も多く、資金面でも)以前よりぐんとハードルが低くなっていますし、学生のうちから経営者としてのキャリアを築くなんていうのは、結果がどうであれ、とても良い経験になると思います。
目的をもって行動に移すことには得るものが多いです。
比較的自由な時間が許される学生であれば、ちょっと気になる、と思った世界に飛び込んでみてください。
自分で実際に見たり聞いたりして、身をもって感じてきたことは視野を広げ、人生に多くの選択肢をもつことにつながります。
そして是非、自分が主人公の人生を謳歌してください。

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