NPO法人 田舎のヒロインズ 理事長 大津愛梨様

【プロフィール】
NPO法人田舎のヒロインズ理事長 1974年生まれ、東京都出身、熊本・阿蘇地域で地元食材の生産現場をめぐる「レストランバス」のプロデュースも。2017年、国際食糧農業機関(FAO)の「模範農業者」に選ばれた。

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http://inakano-heroine.jp/

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―農業を始めた経緯について教えてください。

一番のきっかけは、惚れた相手が農家の跡取りだったことです。大学生の時に彼と出会って、彼が農業の跡取りだったこともあり、私はいずれ農業をする立場になると分かっていました。農業を始めてしまうと、長期で外国にも気軽に行けなくなるし、大学卒業の時に就職氷河期だったこともあり、二人でドイツに留学に行きました。ドイツに決めた理由は、景観計画やランドスケープの学問が進んでいたし、私が生まれた場所でもあったからです。留学中に、いくら計画や国の政策がしっかりしていても、農家がいないと農村景観は守れないということに気づきました。そこで、やっぱり農業をしようと決意し、帰国して半年後に就農しました。

―農業の魅力について教えてください。

農業は相手が誰であっても、胸を張って言える職業だと思っています。他の職業がどうとか優劣は全くないですが、日本の主食である米を作って、自分の守りたい景観のために活動をしていることに誇りを持っています。さらに、自分の子どもを自ら育てた米で育てられること、これ以上に幸せなことってあるのかなと思います。魅力について語ればキリがないですね。もちろん体力面では大変なこともありますが、仕事で疲れて、温泉に入って、ビールを飲んで、もう最高ですよね。子どもが産まれてからの魅力は一緒に作業できることです。自分の仕事を子どもたちが知っている、一緒に出来ることも幸せだなと思います。

―働いていて女性で良かったと感じること、逆に苦労することはなんですか。

一番女性で良かったと思うことは、母親になれたことです。子どもが産まれてから、初めて女性で良かったと思いました。苦労することは、機械に愛情が持てないことです。子どもや作物には愛情が持てるのですが、機械には男性に比べて愛情が持てない気がします。農機具は高いので、愛着を持ってメンテナンスをして長持ちさせる方がいいのですが、その意欲が湧かないですね。体力面に関しては元々バスケ部だったので、お米30㎏を持つことも苦ではないです。

―家庭との両立について教えてください。

他の職業に比べて、農業は融通が利きます。皆さん大変そうだなと思っていますね。子どもたちと一緒に農作業をすることもあります。効率は下がりますが、子どもたちがやりたいことはやらせるようにしています。去年の休校の時期に田植えを一緒にしていたのですが、手際が良くて驚きました。14歳にして10年のキャリアがある状態で、とても助かっていました。

―1日の働き方やスケジュールについて教えてください。

季節によっても違うのですが、米を育てている4月~10月頃は忙しいです。特に、4,5月は年度初めということで事務作業も重なるので、一番忙しくなります。今は午前5時に起床して7時まで事務作業、9時までに家事を済ませて、娘を保育園に送り出します。仕事を16時過ぎまでして、娘が帰ってくると一緒にできる仕事をやっています。その後、お風呂や食事などを終わらせて22時頃に寝ます。

―仕事をする上で大切にされていることは何かありますか。

持続可能性です。自分が倒れた時の周りへの迷惑が大きいと思っているので、母親としても、農業をしている身としても、完璧よりも続けていけることを大切にしています。

―学生に向けてメッセージをお願いします!

現在、コロナの影響でオンライン授業に移行した大学が多いですよね。なので、休学せずに農村留学をしている学生を受け入れています。やってみて思うのですが、この活動はとてもいいなと思っています。自分の食べている物がどのようにできているのか、学生の内に知っておいた方が良いと思います。知らなくてはいけないということではなく、知る楽しみであり、その後どんな職に就いてもマイナスがないと考えています。農業に人手は足りていないですし、自分の生きる基礎にもなりますし、どちらにもメリットがあります。見るだけでは分からないことが沢山ありますし、キャンパスに行けずにもやもやするくらいなら、休学せずにできる農村留学をしてみるのもいいのではないでしょうか。

この度はお忙しい中、お時間を頂きありがとうございました。農業の魅力をいきいきと話してくださって、画面越しにも幸せそうな様子が伝わってきました!

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