最近すっかり春めいてきましたね。コートを着ていると汗ばんでしまうくらい暖かい日も、珍しくなくなってきました。もうすぐ入学式の時期ですが、それまで桜は散らないでしょうか。新入生の皆さんが素敵な写真を撮れるように、綺麗なままでもう少し咲いていてくれるといいですね。鼻炎持ちの私はスギ花粉のせいで薬が手放せない日々ですが、マスクありでもお花見はしたいなあと思っています。
さて、今回は先日3月22日に行われた就活女子会の様子をお届けします。
13回目になる今回は、春休み特別編。
「ワークライフバランスやキャリアデザインについて考えてみよう」をテーマに掲げ、立教大学コミュニティ福祉学部助教の跡部千慧様をゲストにお迎えしました。
「ワークライフバランスの一番適切な割合って?」「差別的な扱いを受けたときってどうしたらいいの?」など、就活の枠に収まらないジェンダーや将来に関する疑問や悩みをみんなで話し合いました。
自己紹介で「千慧さん」と呼んでくださいときさくにおっしゃって頂き、オンライン参加者の皆さんも表示名をその日限りのあだ名に変えるなど開始から和やかな雰囲気。
千慧さんはジェンダーやキャリアデザインについてご研究されており、今回の参加者相談会では大学で研究をされている千慧さんならではの親身な回答が多く見られました。普段の女性社長のみなさまをお呼びする会とはまた違った雰囲気で、終始まったりとした柔らかい空気感で進行していきました。
〇女性が働きやすい会社ってどう見極めたらいいの?
会社のHPや企業理念を見るだけでは、なかなか女性が働きやすい会社かどうかは分からないですよね。女性が活躍するための土壌が整っている会社ってどうやって探したらいいのでしょう?
千慧さんからいくつか指標をご紹介いただきました。厚生労働省が作成している『女性の活躍推進企業のデータベース』や幅広い企業情報が掲載されている『四季報』の女子版(私も持っています!)、経済産業省が作成している『ダイバーシティ経営企業100選』など。さらには「子育てサポート企業」として認められた『くるみんマーク』、女性の活躍推進状況が優良な企業に与えられる『えるぼしマーク』に認定された企業を探すことなど。
私が知らないだけで世の中にはたくさんの指標があるのだなあと思いました。
しかしながら、これらの指標が丸ごと信頼できるとも限らないですよね。優良だと思われていた誰もが知っている企業でも、自殺者がでてしまって優良認定を取り消された、なんてこともあったと思います。企業は色々な見せ方をしています、それらのデータベースに選ばれているからと言って信頼できるとも限りません。これらの指標を鵜吞みにするのではなく、多くの人と関わり対話をする中で、情報を集めていくことが大事だと感じました。
〇ワークライフバランスの一番よい比率って?
大学でワークライフバランスについてご研究されている千慧さんがゲストであるからこそのテーマ。「ワークライフバランスの比率ってどれくらいが一番良いのか」という質問に対して、まずはワークライフバランスとは何か?ということを理解するところから始まりました。
皆さんは「VUCAの時代」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。私はこの会で初めて知りました。「Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)」という4つのキーワードの頭文字から取った言葉で、あらゆる環境が目まぐるしく変化し、予測できない現代の状態を表現する言葉なのだそうです。確かに、2年前の今頃は感染症で社会がこんな風になるなんて想像もしていませんでした。コロナ禍は100年に一度の災害などでは無く、このような災害が数年に一回のペースで起きてくる予測不可能な時代が私たちの生きる現代です。
じゃあ、この時代のワークライフバランスって?
「ワーク」と「ライフ」、お仕事と私生活のバランスをどうとるのがいいのでしょう?
VUCAの時代におけるワークライフバランスとは、時間当たりの生産性をあげること、労働時間に対する付加価値をふやすこと。付加価値とは「あなたの仕事は何で誰の役に立っているか」という仕事の「成果」のことです。VUCAの時代では「職場外での経験」が大事になっていくのだそうです。働く時間を短くしても成果が落ちない、むしろ上げるような働き方が必要になるため、職場外_つまり「ライフ」の部分でのインプットを増やし、それを「ワーク」に活かしていくことで成果を上げることが重要になるそうです。どう言う風に仕事、人生を送っていきたいのかによって人それぞれ適切なバランスは変わっていきます。だからこそ、「ワーク」と「ライフ」の天秤をどうとるのかではなく、自分がどういう仕事で誰の役に立ちたいのか、どう人生を送りたいのかをしっかりと考え、戦略をたてるようにワークライフバランスを自分用にデザインすることが重要だと感じました。
〇女性差別的な人や言葉に出会ってしまったら?
皆さんは経験ありますか?私は以前のバイト先でセクハラめいた言葉をかけられて腹が立つやら悲しいやら恐怖を感じるやらで感情のジェットコースターに振り回された経験があります。参加者の方からそういった経験談を頂いて、それをテーマにワークを行いました。
千慧さんが私たちに教えてくださった「NVC(Non Violent Communication)プロセス」は相手のことも自分のことも傷つけずに平和的に問題解決を試みるコミュニケーション法。自分がその経験を通して感じたもやもやした感情が、怒りなのか、失望なのか。相手に何を大切にしてほしかったのか、自分が相手に何をリクエストしたいのか。突発的な言葉は時に暴力的になってしまったり、自分の意図しない形で相手に伝達してしまったり、別のトラブルを引き起こしてしまうこともあります。それを避けるためにも、他者と繋がりつつも自分が大事にしたい感情が何なのか、自分自身とも対話をしていくことを大切にしたいと感じました。
女性の社会進出のためには、「対話」が重要だとする千慧さん。
「私はこう思うからこうして欲しいんだ」と、自分の「リクエスト」を出すときには、それを突きつけられた相手が「NO」を出す余白を残しておいてあげることが大切だといいます。
相手には相手の主張があり、そこに至るまでの背景があります。どう伝えたら相手は理解しやすいのかを考えずただ正論をぶつけてしまうと、相手も逃げ道がなくなって頑なになってしまう。そして自分の心の中にも、相手が出す「NO」を受け入れる心の余裕を持っておくこと、「NO」を受け入れられる心理状態のときに「リクエスト」を出すようにすること。そういった、自分自身と向き合い、相手とも向き合った形の「対話」がこれからの社会には重要になっていく__もっといろんな人に知ってほしいと思えるくらい、とても納得できるお話でした。
今回の就活女子会では、私たちが生きている、そしてこれから生きていく社会がどんなものなのかを少しアカデミックな視点で学ぶことが出来ました。就活が解禁され書類選考の〆切などが訪れる今の時期、どうしても目の前のことで精いっぱいで俯きがちになってしまいますが、少し視線を上げて立ち止まり、未来の理想を思い描く時間をとることも重要だと感じました。千慧さん、ご参加・ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。
次回の就活女子会は、4月25日(日)です!ゲストは、合同会社未来イメージの加藤朋子様です。加藤朋子様の取材記事はこちら。お申し込みはこちら。ご参加お待ちしております!