株式会社セライズ取締役 金子素子様

株式会社セライズ 金子素子様

【プロフィール】

金子素子様

株式会社セライズ 取締役

会社URL・https://www.ceramic.co.jp/

株式会社セライズ取締役。大学では心理学を専攻。大学卒業後、アパレル系の企業に就職したのち、実父が創業者である株式会社セライズへ。2人の息子を育てながら管理職として会社の運営に大きく携わる。

現在は取締役として社長である従弟と二人三脚で経営を支える。

 

 

【インタビュー内容】

これまでのご経緯を教えてください。

当社はもともと父が創業した会社でした。幼いころからよく工場を見に行っていたので、製造業や会社経営をごく身近に感じていました。しかし、女の子である私が将来会社の経営者になるということは、父も私自身も特に考えていませんでした。そのため、モノづくりや経営の勉強は特にしていませんでしたし、そのつもりで学生時代を過ごしました。

大学は興味があった心理学の勉強をするために、福祉系の学校に進学しました。志高く進学したものの、実際に通ってみると周りは大人しくて、ちょっとネガティブだなという印象を抱く子が多く、入学当初はその雰囲気が肌に合わないなと感じることが多々ありました。雰囲気のギャップに悩んだ時期もありましたが、とにかく入学したからにはしっかり勉強しなければと、気持ちを切り替えて勉強に励みました。その後3年生になり心理学のゼミに所属し、私と似たような思いを抱いていたゼミ生の子たちに出会いました。色々な話をしたり、価値観に触れたりするうちに、漠然と自分が進むのは福祉の道ではないのかなと考えるようになりました。丁度大学時代にアルバイトをしていた接客業が楽しく、またフィット感を感じたことから卒業後はアパレル関係の会社に入社しました。

こうしてアパレル関係の会社で働き、その後すぐに店長に就任しました。しかし、店舗責任者として部下たちを統率・士気を高めて運営を行っていくことの難しさを痛感し、転職を考えるべきか悩み始めました。そんな折、丁度父が会社に来ないかと誘ってくれたので、それをきっかけに今の会社に入社しました。

父が亡くなった後、ずっと会社を支えてきた母が数年前に引退し、現在は新たに社長に就任した従弟と私の二人三脚経営を行っています。

 

 

仕事をする上で大切にしていることは何でしょうか。

管理職として、社員が気持ちよく仕事ができる環境を作れるように気を配るということです。本社から離れている工場に実際に足を運んだり、オンラインで本社と工場を繋いで会話をしたり、工場で働いている社員ともコミュニケーションをとって、皆さんの状況や環境に対して常に気を配るようにしています。

また、仕事にやりがいを感じてもらえるよう、様々な挑戦をしています。製造業、とりわけ部品を作る会社ですと、自分たちが何を作っているのか、イマイチわからないということが多々あります。当社もセラミックの部品を製造している会社ですが、いざ完成して装置の中に入ってしまうと、外側からは自分たちが作った部品がどのように使われているのか、確認することがかなり難しいのです。製造品の特性的に仕方がないことではあるのですが、なにを作っているのかわからない状況でものづくりをするよりも、明確に「自分たちが作った物が世に出て使われている!」というのを実感できる方が絶対に楽しいと思います。ですから、なるべく社員の方々がワクワクするようなものづくりができるよう、色々な挑戦をしています。例えば、コスメブランドとコラボをしたり、セラミックの特性を活かして新商品の開発をしたり、部品とはひと味違ったものにもチャレンジしています。作ったものが世に出ることは、ものづくりに携わる者にとって、最も楽しい瞬間ですから。

以前、商品開発にオリジナル性を持たせること、また社員の方々のモチベーション向上に繋げたいという思いから、社員に対して新商品のアイデアを募集したことがありました。正直、意見が出るか不安な気持ちが強かったのですが、約50名の社員に対して、なんと230個以上のアイデア寄せられたのです。セラミックならではの特性に即したものから斬新なものまで、本当にたくさんのアイデアが上がりました。このことからも、社員の方々がものづくりに対してすごく積極的だということが改めてわかりました。管理職として、皆さんのこの想いに応えていくと同時に、もっと働くこと・作ることが楽しいと思える環境づくりに挑戦していきたいと考えています。

 

女性で良かったこと、損したことはありますか。

女性で良かったと感じたのは、変なプライドが邪魔することなく仕事をすることができるという点です。例えば営業をするとき、何かわからないことがあっても、その場で質問しやすかったり、女性ならではの愛嬌が功を奏したりすることが多いと思います。その点、逆に男性だとプライドが邪魔して、わからないことを素直に聞くことができない場面が多いのではないでしょうか。男性と一緒でなければいけない、張り合わないといけないということはありません。女性ならではの愛嬌や素直さはどんどん出していっていいと私は思います。

反対に女性で苦労した点は、男性集団に対して一歩踏み込むのが難しいということです。異業種との交流を心掛けているので、経営者の集まりなどによく参加するのですが、男性集団の中に女性が私一人という場合が非常に多いです。仕事のためにもっと深く付き合いたいと思っても、性別の壁があってあと一歩が踏み込めない、ということを感じる瞬間がよくあります。そういう時はどうしても性別の壁に対して大変さや難しさを感じてしまいます。

 

―製造業は男性社会であるという印象がありますが、女性でも活躍できるのでしょうか。

私はむしろ、女性は製造業にすごく向いていると思います。確かにまだまだ男性色が強く残っている業界ではありますが、女性ならではの器用さやセンスはどの会社でも求めているのではないでしょうか。

会社の規模に関係なく、自分の作ったものが世に出て形になっていくのはとても楽しいですし、やり甲斐を感じることができると思います。ものづくりやデザインなどが好きな方は、是非製造業にも目を向けてみてほしいです。

 

―1日の過ごし方を教えてください。

仕事とプライベートが密接である環境で生活をしています。子供が幼いころは子供に合わせて仕事をしていました。今は2人の息子も独り立ちしましたので、会社とその上階にある自宅とを行き来して、自分のペースで仕事をしています。また、管理職ですので、業務の人が欠席した時や人手が足りないときなどは、自分で補填しなければなりません。その時は休みも返上して仕事をすることがあります。

子供が幼いときは、特にプライベートと仕事が密接だったと思います。しかし、(身内の会社だからこそ可能だった部分もあると思いますが)、私の場合は子供を迎えに行ったり子供に合わせて予定を立てたりすることが比較的やり易かったので、子育てをしながらでもかなり働きやすい環境でした。

実際に子育てをしながら働いていた者として感じるのは、女性の活躍できる社会をつくるためには、環境面の援助してあげなければならないということです。当社の場合も、管理職に推薦したい女性社員がたくさんいますが、家庭の事情など環境の問題で昇進させるのが難しい場合が多々あります。このように現代社会には、もっとバリバリ働きたいのに環境が整っていないためそれができない、という女性が大勢いらっしゃると思います。そういった方たちが働きやすい環境が、これからもっと増えてほしいと強く思っています。

 

 

どんな人と働きたいですか。

何事にもポジティブな人と働きたいです。何か辛いことがあっても前向きにトライすることができる人、プラス思考の人と働きたいと思っています。逆にすぐに否定的な言葉を発したりするマイナス思考な人や、ネガティブな人とは働きにくいだろうなあと思います。

また、素直に物事を捉える事ができる人と働きたいです。大人になると、分からないことを人に聞いたり、色々な意見を真摯に受け止めたり、素直に生きることって簡単なようで中々できることじゃないと思います。変なプライドは人の成長を最も妨げるものですから、変なプライドなんて捨てて何事にも素直に取り組んで欲しいです。そして何かわからないことがあれば素直に聞きましょう。それが一番成長できるポイントではないかと思います。

 

 

就活生にメッセージをお願いします。

男女平等が叫ばれる世の中ですが、無理に男性と張り合おうと躍起になる必要ありません。女性ならではの愛嬌や、素直さは女性の特権です。自分の強みさえ持っておけば、無理に男性と張り合う必要はありませんし、なによりそういったスタンスで取り組む方が格段に楽しく生きることができると思います。

私が所属している倫理法人会では、よく『女性はゴムマリのようになりなさい』という例えを使います。「何でも一度は素直に受け入れるという広い心で受け止めることを心がけなさい」ということです。せっかく女性として生まれたのですから、私たち女性にしかできないこと、女性としての特権をもっと使って、楽しく過ごすことが大切だと思います。

また、もう一つ皆さんにお伝えしたいのが、「食べていくため、お金のため、ではなく、心から楽しいと感じられる仕事を見つけて欲しい」ということです。その会社の規模感や給料、周りへの体裁ではなく、その環境で自分が着実にスキルアップできるのか、やりがいを感じることができるのか、という点にフォーカスして選んで欲しいです。

今、企業は女性の力を求めています。たとえライフイベントがあっても長く続けられる会社を見つけてください。せっかく就職活動をするのだから、2.3年で辞めてしまうような環境ではなく、心からここでなら頑張れる!という会社を選んで欲しいです。頑張ってください、応援しています。

 


「無理に男性と張り合わなくていい、自分らしく生きてほしい。」というお言葉にとても勇気づけられました。また、「内定をもらうための就職活動ではなく、やりがいを感じる仕事に出会うための就職活動をしてほしい。」という思いを、悩みを抱える就活生たちに届けて行きたいと思います。金子様、ありがとうございました!

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