今回は、株式会社Kanatta井口恵様へインタビューいたしました!
【プロフィール】
井口恵様
株式会社Kanatta代表取締役社長
父親が転勤族だったことから、幼少期は大阪、横浜、千葉、兵庫と転校を繰り返す。7歳から13歳までは、アメリカで過ごす。2010年横浜国立大学経営学部卒業。監査法人やファッション業界での経験を経て、2016年に株式会社Kanattaを創業。SDGsの取組みの1つである「ジェンダー平等の実現に貢献する」ことを理念に、さまざまな分野での女性の活躍や社会進出を支援するコミュニティの形成に尽力している。その代表格である、ドローンの魅力を社会に発信する女性チーム「ドローンジョプラス」は約100名に成長。女性が社会で活躍する場を提供している。
【インタビュー内容】
・社長になられた経緯
私は当初、公認会計士として働いていました。公認会計士になった理由は、稼ぎたかったからです。私は小学生の頃、アメリカに住んでおり、日本に住んでいるより多く貧富の差を目の当たりにしました。そこで、「私が不自由することなく暮らせているのは、父親が稼いでくれているからだな」と感じたことから、私も稼げるようになりたいと思うようになりました。
ただ、日本の状況を見たときに、まだまだ男女が平等に働けているとは思いませんでした。また、女性でも男性と対等に働けるような資格を取ったほうが良いのではないかという周りの助言もあり、在学中に公認会計士の資格を取りました。
新卒で入った監査法人の会社は、男性が多く、体力勝負のようなところがありました。入社初日から終電帰りでしたから(笑)。そこで働いているうちに、仕事は好きだけど。30・40代もこの働き方ができるか不安だと考えるようになりました。そこで、26歳の時、ファッション業界に転職しました。
そこでは、女性が多く働いていて、定時上がりなど、ワークライフバランスがしっかりしていて、私もとても働きやすかったです。しかし、従業員は8割女性であるのに、役員層は男性ばかりであったことから、女性が活躍できるフィールドが限られていることを実感し、株式会社Kanattaを設立しました。
起業した理由は、私自身が働いていて、女性が活躍しづらいと感じたので、その社会課題を解決したいと思ったからです。
・女性であることで得したこと・損したこと
得したことは、女性の会計士は少ないので目立ちましたし、可愛がっていただけたことです。
損したことは、特になかったです。強いて言うなら、体力面のことだけです。また、産休・育休の制度は整っていたのですが、周りのみんなが遅くまで働いているのに、自分だけ早く帰ることに抵抗を感じている女性が多かったと感じています。会計の業界は、常に知識をアップデートしなくてはならないのですが、産休・育休でブランクがあると、第一線から退く方が多かったです。
・仕事をする上で大切にしていること
今、大切にしていることは、レバレッジを利かせることです。具体的には、いろいろな人の力を借りることです。もちろん、最初は自分でやってみるのですが、「これは任せられるな」と思う人がいたら、信頼してお任せします。そうすることで、組織が大きくなっていくと思っています。個人的に、女性の方が、プライドが邪魔することなく他人の力を借りることができるのではないかと感じていますので、そこは自分が女性であることを活かすようにしています。
というのも、私は当初、株式会社Kanattaの社長ではなく、役員でした。会社が新しいサービスをリリースするとなったときに、創業社長が妊娠されました。そのまま、社長を続けられてもよかったのですが、やはりお子さんがいると裏方の仕事の方がやりやすいのではないかということで、私と入れ替わりました。
そこで私は、「妊娠したり、出産したりしたときに、誰かに仕事をお任せする機会が、私にも必ず来る」と感じました。そこから、任せられる仕事は任せるということを意識するようになりました。
・学生時代の過ごし方
大学生の時は、体育会のテニス部に所属していたので、ずっと練習していました。あとは、ゼミ活動も忙しく取り組んでいました。
会計士の勉強は通信でしていました。部活で朝と夜にも練習して、家に帰ってから資格勉強をしていた頃を思い返せば、社会人になってからの苦労も、たいしたことないなと思えます(笑)。
・日々の過ごし方
今は、プライベートと仕事のはっきりとした区別がないですね。ミーティングをしている時は、仕事中ですが、社員の家族が画面に映ることもよくあります。お子さんが熱を出して、ミーティングに参加できない社員がいても、「いつもいる〇〇ちゃんね!大丈夫?こっちは大丈夫だから休んで」などと社員が家族ぐるみで仲良しです。
今はコロナ禍でできませんが、以前までは、ランチも夕食も、誰かと一緒に外食して、仕事のことを話していました。プライベートで知り合った方が仕事仲間になることもあり、仕事とプライベートの境界があまりないですね。
・どんな人と働きたいか
チャレンジ好きな方がいいです。コロナ禍ということで、社会人一年目の方で、社会人になったという実感を持てていない方が日本で多いみたいです。全部オンラインですからね。こういう状況の中で、「楽できてラッキー!」と感じるよりは、「せっかく20代でいろいろ経験できる時期なのに!」と思う方と一緒に働きたいと思います。
もちろん、プライベートも大切ですし、仕事ばかりする人が正しいとも思いませんが、やはり、社会人は起きている時間の半分以上は仕事をするので、それを楽しめて、かつ仕事の目標を持つ人と働きたいと思います。
・就活生に向けたメッセージ
私は、今の就活生の皆さんと似たような経験をしました。私が大学3年生であったときに、リーマンショックを経験し、大学の就職率もすごく悪くなっていました。一見したら、就職難というピンチかもしれませんが、10年に1度起こる危機を就活の時から体験できたという意味で活かすも殺すも自分次第です。これから就活をする皆さんは、不安もたくさんあると思いますが、9、10歳上の方が似たような経験をしていますので、その方々の話を聞くと、そこまで焦る必要ないと思いますよ。また、新卒でいい会社に入ることが全てではないので、ぜひ前向きに取り組んでいただければと思います。
井口様、お忙しい中お時間をいただきありがとうございました!コロナ禍で不安な就活生に、似た状況をご経験された井口様のメッセージがすごく響くと思います。今後、ぜひコラボさせてください!本当にありがとうございました!